#24
日米の合同ティームに台湾の反国民党派グループが合流した時だった。陥落した台湾の某所に置かれた盗聴本部に緊張が走った。
『約束が違うじゃ無いか。米日が攻め入る前に,両岸大陸宣言を執り行うのでは無かったのか』
台湾国民党の閣僚が大陸支那の“友人”に電話で泣き付いた。
『こちらも全て把握出来なかった責任はあったと思うが,今はこれからどう打開するかを考える時では無いかと思うのだ,同志』
『打開?既に陥落したのだぞ,台湾は。今更ごたくを聴くつもりは無い!』
台湾の小心者は怒鳴り散らした。一方,いくらか安穏な支那人は間に受けずに聞き流した。
『今米帝と日帝はどうしてる?貴党はどうしてる?』
『どうしたもこうしたもあるか!今や陥落して無い街の方が少ない有様なのだ,全て同志らのせいだぞ』
『貴党にだって軍隊はあるだろう』
支那人はなだめたが,すぐに無意味だったと悟った。
『あれは米国が贈ってくれた兵器があったからだ。交戦相手国と為った時点で既に凍結されてるよ。共和党め,政権交代の直前に再び凍結しおったのだ。これでは日帝が受けた“包囲網”と大して変わらない...』
支那人は電話の向こうで天を仰いだ。
盗聴本部の係官が新たな通話を捉えた。先の大陸高官は電話を続けて居た。
その彼は台湾との電話を終えると,次いでニューヨークの支那国連大使に回線を繋げた。
『大使,どう為さったのだ。すぐに負かしてくれると仰ったでは無いか』
『その予定だったが,奴らのが情報収集において勝って居た』
彼の様な全権委任者は本国を離れるので,赴任先では愛国心や理念より現実を見詰め易かった。この傾向は彼が支那人だからでは無く,全ての国の人間において共通だった。
『奴らとは?』
本国の高官は訊き返した。
『アメリカ合衆国と日本国に決まって居るだろう』
『馬鹿な,アメリカならともかくあんなフ抜けた日本人なんかが情報収集で我々に勝っただと?!我が国では分析官が,数十年前にソ連が失敗して以来,中華人民共和国での諜報被害は皆無と話して居るのだぞ』
『外交官はインテリジェンスを扱って居てもインテリジェンスにはヨワクてね。君らが国を動かせないのと似て居るかな』
ニューヨークの全権委任者はジョークを交えたが,真っ赤な本国の官僚には誤って伝わったのではと心配に為った。
『我々は国を扱って居るから,どうすればいいかも理解して居る!あなたの様に外交官では無いのだからな』
『それならそうすればいい。もはや私は本国から遠く離れた身なのだからな。ただ私は安保理で交渉を続けるのみだ...』
電話はそこで終わった。
それまで盗聴して居た面々は顔を見合わせた。盗聴本部トップの日本人係官はすぐに報告書の作成に執り掛かった。“全権委任者と本国との意思疎通は破綻しつつあり,統率を欠いて居る”...
◆小説 Decの野望◆
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テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学
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